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ループ作品から考える人と時間 「時間ループ物語論」

 
 休日の日曜日、何もすることなく家でゴロゴロして一日を終えようとしたとき、「もう一度日曜日こないかなー」と思ったりしませんか?人生の中で「なかったことにしたい失敗」などはありませんか?これらの願望をかなえたような時間ループを題材とした作品に精通した著者が分析・考察をしたのが本書「時間ループ物語論」です。
 時間ループ作品といえば何を思い浮かべますか?「魔法少女まどか☆マギカ」「ひぐらしの鳴く頃に」や「鈴宮ハルヒの憂鬱」の「エンドレスエイト」、「STEINS;GATE」等々、時間ループという手法は古典的でありながら最近の作品でも大きな反響を呼んでいます。「時間ループ物語論」では先に上げたようなアニメ、ゲーム、小説の時間ループ作品から神話・童話・宗教概念までひっくるめた大きな視点をもって人間と時間をあまねく様々な思考を緻密に行なっています。読んでいてあまりのリアルなディティールに涙がでちゃうほどです。前回の記事で2012年のベスト本を選びましたが、2013年のベスト本は早々と1冊きまっちゃいそうです。SFの世界観を真剣に考えるような人に読むのを強く勧めます。
 
 
以下ざっくばらんですが、おもしろかった部分・自分なりの感想・考察です。
 
1.自分はMOBという可能性
 MOBというのはモブキャラとかのあれです。ストーリーの端役、背景キャラってやつですね。
 時間ループ作品では主人公やメインとなるキャラクターだけが時間の巻き戻りが生じても彼等だけ記憶を引き継いでいたり、ループを繰り返す巻き戻す回数が増すことでループ現象に気付いて物語が進展する場合がほとんです。しかし、この「時間の巻き戻り」を感知できないMOBはどうなるのでしょうか。同じ日曜日が繰り返されていてもそれに気づかない、ループが続いているのか終わったのかもわからない。もしかしたら私たちの生きている今はループ時間の中にいるのではないか?と考えると少し背筋がゾクゾクします。たまにデジャヴのようなの感じませんか?
 
2.ノベルゲームのループ性
 ノベルゲームと言えば読み進める途中で選択肢を迫られる事が多いですよね。選択肢を間違えると主人公はあっけなく死んでしまったりします。そこでゲームをするプレイヤーは選択肢を選ぶシーンまで戻り、先ほどとは違う選択肢を選んで主人公によりよい未来へ導きます。ここに時間ループ性を感じると本著では書かれています。もしかすると私たちが日常で選んでいることも何回も失敗を繰り返した先の行動かも?
 
3.時間ループは幸福か?
 わたしは「毎日が休みだったらいいのに」と何回も何回も思ったことがあります。しかし、時間ループ作品の多くでは主人公たちは永遠の休日を手にしても時間ループから脱出を図ろうとしています。なぜでしょうか。時間ループの主人公たちも多くは凡人、最初のうちは時間ループを利用しあらゆる欲望を叶えます、しかし欲望を満たしても満たしも時間は進まず、自分以外の人間はまったく同じ行動を繰り返し主人公はいつしか疲弊します。そして時間ループから逃れる手を探す。ここに人間と進行する時間の関係性を見つける糸口があるのではないでしょうか。
 
4.学校と時間ループの親和性
 学校(特に小・中・高)の生活は時間割にしばられ毎週毎週同じ時間を過ごすループのようなものだ。という考え。
 
5.輪廻転生もループ
 仏教などの宗教間で語られる輪廻転生という考えもループだ。という考え。
 時間ループ作品で人生を一から、進路選択前の学生から記憶はそのままやりなおすという作品が紹介されています。しかし記憶を持っていても幸福にならなかったり、望んでいた環境にたどり着けず絶望したり、やり直す前の人生に戻ったりしています。人生はなんどやってもうまくいかないもの、自己が望む最適な環境は永遠に手に入らないということかもしれません。
 
6.浦島太郎ニート説
 浦島太郎は実は現代で言うとニートだった。という話。浦島太郎はループ作品ではありませんが、時を超えるということで考察されております。
 浦島太郎はなぜ最後に悲劇で終わるのか。ダメ人間である浦島太郎はどう行動すべきだったのか。
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