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「第四間氷期」面白い2つのSF要素

 

 今回は少し古いSF小説を読みました。この作品では「予言機械」と「水棲生物」という2つのSF要素が物語を進めていきます。発行日は1959年、そんな年代からこんなに面白い発想が生まれていたと思うと驚きです。ネタバレ全開ですが、その2つの要素について説明したいと思います。

・予言機械
 その名の通り未来を予言できちゃう機械です。データさえあれば1人の人間の過去や未来まで精巧に予言できる最高なマシーン。「第四間氷期」内で主人公がもの凄いプログラミングスキルで作っちゃいました。稀代の発明となるかと思いきや、的中率が凄いもんで人権問題や政治問題をマスコミに取り沙汰され、明るい未来を運ぶはずの機械に使用の制限がかけられます。

 未来を予言できる機械なんてのは今ではすっかりフィクションの中ではメジャーな要素ですが、私がこの作品で面白く感じたのはこの機械の的中率の担保となっているもの。よく時間操作系の作品で「未来を知って行動すると未来がかわってしまう」というのが一般的です。未来を知って身にかかる不幸を回避するというもの。ですが第四間氷期内の機械はそれさえ予言します。なぜなら未来をシミュレーションする際にあらかじめ予言を見たあとの世界もシミュレーションするからです。まず初めの予言をされた世界を「第一未来」としましょう。第一未来の中では予言機械の行動をもとに世界はまわります。その世界の中でさらに予言機械を動かし次の未来を予測します。これが「第二未来」です。この「第n未来」を無限大までシミュレーションし、揺らぎの少ない、変えることがほとんど不可能な未来を弾きだすのが第四間氷期で登場する予言機械です。「シュタインズゲート」という作品でもダイバージェンスが1%以上変わらない限り未来に大きな変更は起こり得ないとされていました。無理に当てはめるなら第四間氷期の予言機械はダイバージェンス1%内の未来を全て演算してるのでしょう。
 
 作者はあとがきにて「はたして現在に、未来の価値を判断する資格があるかどうかはすこぶる疑問で、現在にはなんらかの未来を、否定する資格がないばかりか、肯定する資格もないと思った」と述べています。
 
・水棲生物
 来るべき未来、地球の海面が急激に上昇し陸地がほぼ無くなる未来での活動を想定されて生まれた生物。作品内では陸上生物を品種改良し水中での生活に特化させた生物として登場し、牛や豚、犬、そして最後には人間までも水棲生物として変異させています。えら呼吸を行い、目は退化し、水中なので声を発することができないので"歯ぎしり"をモールス信号のように使ってコミュニケイションを行います。また水棲人間は涙腺が退化し涙を流しません。作中で水棲生物の研究者は、人間は悲しいから涙を流すのか、涙を流すから悲しいと感じるのだろうか、どっちにしろ彼ら(水棲人間)には悲しいという感情を持ち合わせていないかもしれないそれぐらい我々(陸上人間)とは根本から異なる生き物だと言っています。人間の多くが水棲人間となった世界では陸上人間について椅子がなければ身体を固定できない不便な生物と評価しており、現代の人間とは全く異なる価値観、社会を垣間見ることができるのが本書の1つの面白さでもあると思います。
 
 さらに第四間氷期について知りたい方は、実際に読むか、ウィキペディアの第四間氷期に目を通すとさらに面白さが伝わると思います。